――漫画を書いていくことは、どんな苦悩や楽しさがあるのでしょうか。
漫画家を目指している3人の女性に漫画への思いを本音で語って頂きました。
漫画家を目指す女性たち
現在、漫画家を目指している3人の女性にインタビューをさせていただきました。
漫画家を目指していくことの苦労や、それでも目指していきたいと思う理由。
アーティストとしての葛藤や周囲の目線、好きだけでは続けていけない。漫画に対する想いを本音で語っていただきました。
Asai
出身/千葉県 性別/女性 血液型/A型
現在アルバイトをしながら漫画を描いています。
少女漫画「別冊マーガレット」を愛読しているそうです。
Ellie
PN/エリー
出身/東京都 性別/女性 年齢/20代 血液型/B型
現在アルバイトをしながら、「りぼん」という少女漫画に投稿中。
女の子がキュンとするような少女漫画を描きたいそうです。
Miyoshi tasuku
PN/三好 祐
出身/香川県 性別/女性 年齢/20代 血液型/O型
青年漫画「ヤングジャンプ」で編集担当付き。現在、板東いるか先生の元でアシスタントをしながら自分の漫画も描いています。
読み終わった後に余韻が残るような、浸れる感動漫画を描けるようになりたいそうです。
――漫画家になろうと思ったキッカケは何ですか?
エリー:私、小学校4年生まで漫画を読んだことなくて…。キッカケは、学園アリスという漫画が好きになって、原作の存在も知りました。両親には無理だと言われて。実際、漫画の描き方を知ったら、自分には絶対無理だとその時は思ったんですけど。ちょっとでも描けると、自分は絵が上手いんだと誤解しちゃって。
阿佐井:私も。小学3年まで漫画の存在を知らなかったけど絵を描くことが好きで、漫画に興味を持ちました。漫画を描く道具の存在を知らなくて、何もかもがすごく衝撃的でした。
漫画家になりたくて専門学校に入って勉強し、その中で同士ができて。そんな中、自分より先に出版社に認められて編集担当さんが付いてく人とか、漫画の賞で受賞する人を間近に見てると自分ももっと頑張ろう!って思うようになり、ますます漫画家になっていこうと思いました。
三好:小学校の授業で、将来の夢を作文にしたことがあったんですけど周りのみんなが将来の夢に漫画家になると言っていて、その場のノリで便乗して意地で続けた感じです(笑)結局、ずっと漫画を描き続けているのは私だけだけど。
専門に入って勉強してからは、「仲間」と書いて「ライバル」みたいな人たちがいたから志が強くなった気がします。賞とった人とかが出てくると悔しいっていう気持ちも湧いてきますしね。

三好:全部ですね(笑)。特に、話を作っていく『ネーム』という作業。描きたい話はいくらあっても、辻褄がうまく合わなかったりするので、まだ一人じゃ話をまとめられない状態です。
漫画を描いていくうえで、担当編集さんの力を借りてます。まるで面接のような尋問のような感じで、自分の話を引きずり出してもらうようにやってもらっているから、まだ一人で構成していけなくて大変…。未熟な部分を担当さんに補ってもらっていますね。
一人だと、何日も何日も時間をかけて悩んで、原稿を描く時間がなくなり、〆切に間に合わないという始末です。
エリー:〆切を守ることって大変ですよね。私は時間配分ができないというのもあるんですけど、自分が納得できる作品にならなくて。自分ならもっとできると思っちゃうんです。ストーリーを考えるのに詰まっちゃったりするから、作画よりネームの方が難しいですね。
指摘されて直して、また指摘されての繰り返しで。描いていくうちに段々、何が面白いのかがわからなくなっていってしまうんです。
アルバイトをしつつ、漫画を描いていくのは意外と時間が足りなくて。だからと言ってバイトを減らすと描くためのお金がなくなっちゃうし、漫画の賞に投稿するのに〆切があるから、それにシフトを合わせようとするんですけどうまくいかないんです。
阿佐井:私は、お二人の答えとはちょっと違うんですけど、親とか周りの視線が気になりますね。高校とか大学卒業したら他の人は大体、会社に就職して社会人になりますけど、「就職もせずに漫画を描いてる」って言うと必ず少しの沈黙と冷たい視線を貰うから、それがちょっと心苦しいかな(笑)それがこの先も続くのかと思うと余計に…。
―――それでも漫画家を目指そうと思うのはどうしてですか?

からです!漫画家っていう職業に憧れてるからですね。周りの目を気にせずに、逆にこれでどうだ!!っていうくらい知名度もあって漫画も売れるような漫画家になるのが目標です!そのためにも今は目の前に迫ってる締め切りをなんとかしなくては…。先はまだまだ長いですね…頑張ります。
エリー:私も漫画家への憧れですかね。あとは、やっぱり絵を描くことが好きだからです。でも、辛くて投げ出したくなるときは毎日あります。
三好:漫画読んだり描いたりするのが一番楽しいから、大変でも苦じゃない…ってことはないけど、それもまた試練と思えば楽しくなるから頑張れるんだと思います!
―――漫画を描いていて一番楽しいと思うことは何ですか?
エリー:私は断然、ペンで線を入れる工程の『ペン入れ』の作業ですね。それも髪の毛の細いペン入れ。綺麗に描けると気持ちいいんですよね。
三好:エリーさんのペン入れ、細くて綺麗ですよね。私は筆圧が強いので真似できません。さすが少女漫画家志望だなって思いました。
キャラの感情が濃く出てる表情とか、効果をつけるのが一番楽しいかな。ペンが走るから原稿のペン入れから仕上げが好きです。
阿佐井:私は、漫画描いてるときは締め切りに追われていて、楽しいって思わないけど、原稿完成したときが今までの作業全部ひっくるめて楽しかった!!って思います。
―――最後にどんな漫画家になっていきたいですか?
三好: 今、ヤングジャンプの漫画賞に出そうとしていて、小さい賞をたく

さんとって、いずれは大きな賞をとって漫画家を目指して行こうかと思っています。1話完結のものだけじゃなく、連載を描いていくのが目標です。長編を描き続けて単行本を出していきたいです。単行本が書店に並んだら立派な漫画家だと思います。
エリー;私は、連載とか考えてないですね。今は、投稿していくために読み切りばっかり考えてます。カッコいいものからカワイイものまで、色々なジャンルの漫画を描いていきたいです。読者に長く読んでもらえるような漫画家になりたいです。やっぱり漫画は最後そこに行くんですよね。
阿佐井:私は、何度も繰り返して読んでもらえるような漫画家になりたいです。そういった漫画を描くのはなかなか難しいけど、ふとした時に「あ、あの漫画また読みたい」って思えるような。
三好:「この漫画面白い!じゃあこの漫画家の他の作品も読も!」っていうより、「この漫画、面白いな。あの漫画もその漫画も面白い。あれ?作者が同じ…もしかして、この漫画家の作品が好きなのかもしれない!」みたいに作者から漫画を選ぶのではなく、漫画から選ばれた作者みたいなのが理想ですね。
自分がそうやって漫画を選んでるので。偶然の巡り合わせみたいなのが、偶然ではなく運命的な感じに思えて。そんな漫画家がみつかった時はすごく嬉しいんです。
―――ありがとうございました。