――今年も、もう未年ですね。干支に入ってもおかしくない、ある動物…思いつきませんか?
そうです、ネコが入っていないのです。どうしてネコは十二支には入れなかってのでしょうか?
知っているようで、意外と知らなかった面白い言い伝えをご紹介。
お正月になると改めて意識する干支。今年は未年ですね。
十二支とは、年・月・時刻などを表す際に使用し、それを12種類の動物っで当てはめて表します。子(ね)がネズミ、丑がウシ、寅がトラ、卯(う)がウサギ、辰がタツ、巳(み)がヘビ、午がウマ、未がヒツジ、申がサル、酉がニワトリ、戌がイヌ、亥(い)がイノシシとなっていますよね。干支は国によって種類が異なる場合もありますが、日本の干支の中に入っていてもおかしくない動物がいることに気が付きませんか?そう、イヌはいるのに、ネコがいませんよね。どうしてネコは十二支に居ないのでしょうか?実は、ネコが十二支には入れなかった原因を伝えるお話があります。
昔々、神様が森の動物たちを集めて言いました。
「一月一日の午前0時までにこの神社に集まった先着十匹の動物を十支にしよう!」と決めました。
その話を聞いた動物たちは、
「我こそは十支に!」
と気合十分に張り切っていました。特に身体の小さいネズミは汚名返上とばかりに一番乗りを狙っていました。
そんな中、この大事な集まりに参加できなかった動物がいました。それは早起きが苦手なネコでした。ネコは村の噂で十支になれると聞き、「自分も十支になりたい!」と思いました。
そこで仲の良かったネズミに、いつ・何時にどこへ行けばいいのかを聞きました。
するとネズミは
「一月二日の午前0時に神社に集まった動物で、先着十匹までが十支には入れるよ」
と嘘の情報をネコに教えたのです。それがネズミの作戦だったのです。疑うことを知らなかったネコはネズミの話を信じてしまい、その日こそは寝坊しないようにずっと起きていることにしました。
一方、ネズミはある悩みを抱えていました。
「いくら自分が早く出かけても、この小さな体では神社まで行くのに時間がかかってしまう」
ネズミは足の遅いウシにどうやって十支に入るか聞いてみました。
すると、ウシは
「自分は足が遅いから計画を立て、時間に間に合うように早めに出発する」
とネズミに教えました。
賢いネズミは、そんなウシの出発する時間を聞き、出発したウシの背中に隠れ、スヤスヤと寝て到着するのを待つことにしました。
辺りはすっかり薄暗くなってしまいますが、余裕をもって出発したウシより先に出発する動物はいませんでした。
神社の入り口が見えてきました。入り口には、神様が立っています。牛は自分が一番になれることが嬉しくて、のほほんとしながら入口へ足を踏み入れようとしました。
しかし、その時ウシの背中に乗っていたネズミは一瞬のスキを見て飛び乗り、ウシより先に入り、一番乗りを奪ってしまったのです。
「十支一番乗りはネズミに決まりだ!」
と神様が叫んだ瞬間、ネズミはとても喜びました。
ウシは仕方なく二番目。続いて、トラ、ウサギ、タツ…続々と動物たちが集まりだしました。
サルとイヌは途中までは一緒に仲良く神社を目指していましたが、途中から我先にという思いが爆発し喧嘩になり、結局サルがイヌを追い越し、先に到着しました。
その後イヌはニワトリにも追い抜かれてしまい、それ以来2匹は「犬猿の仲」となってしまったようです。
十支が入った瞬間、神様は門を閉めようとしましたが、自分は足が速いからと油断し、寝坊してしまったイノシシが体当たりで門を破ってしまいました。
しかし、イノシシが目を回している隙にイヌが先に入り、イノシシも最後に入ることができ、神様は十支ではなく十二支にすることにしました。そのころ、ネズミに騙されて集合が一月二日だと思い込んでいたネコは、もう集合はとっくに終わってしまっているとも知らずに出発に向け準備をしだしていました。
一月二日の午前0時、ネコは神社へ到着しました。
「どうやら一番乗りは自分のようだ」
とネコはとても喜んでいましたが、その後いつまでたっても他の動物はおろか、神様すら現れません。
不思議に思ったネコは木の上で寝ていた小鳥に聞きました。
「十二支の集合?それなら昨日の晩に終わったよ。ネズミくんが一番乗りだったよ」
その言葉を聞いた瞬間ネコは、はらわたが煮えくり返りました。
早速ネズミのもとに抗議しにいきましたが、ネズミは冷たく
「騙されるほうが悪い。第一、神様のお話の時に寝坊した時点で君の十二支入りはなかったのさ」
と突き放しました。
それ以来彼らの関係は最悪となり、現在に至ってもネコはネズミを見ると追いかけまわすようになったのだそうです。
このような民話が伝えられています。
勿論、民話だけが原因でネコがネズミを襲うのではないと思いますが、面白いエピソードですよね。
ウシがネズミに対して怒らなかったのは、ウシの、のんびりとした性格なのでしょうか。世界各地に十二支の動物たちの様々な言い伝えがあるそうなので、比べてみると面白いかもしれませんね。