穏やかな陽気と、心地よい気温が気持ちよくなってきた春の午後。
お仕事の合間や家事がひと段落した際に、ゆったり和みながら春の風を感じてお茶を飲むのはいかがですか?
そこで、ぜひ知っていただきたいのが「茶道」の存在。
長い年月にわたって親しまれてきましたが、時代が変わるにつれて“苦い”“渋い”と、多くには好まれないものになっていました。
しかし近年、日本文化について多く話題に取り上げられるようになり、茶道もまた、身近な存在になりつつあります。
そんな日本の伝統文化である茶道について、紹介していきたいと思います。
◆茶道ってどんなもの?
そもそも茶道とはどのようなもののことをいうのでしょうか。
茶道は別名“茶の湯”と呼ばれ、伝統的な様式、お作法にのっとってお客様にお抹茶を振る舞うことを言います。
また、お茶を飲むことだけでなく広い視野にまたがる総合芸術として発展し、由緒ある茶道具や茶室に飾られている掛け軸や生け花などの奥ゆかしい雰囲気すべてを含んで、様な人に親しまれています。
◆“裏千家”という流派
茶道には、表千家と裏千家、更に武者小路千家という3つの流派の種類があります。
どれもとても魅力的で三者三様にすばらしいものですが、今回はその中から一番ポピュラーと言われていてる裏千家についてご紹介したいと思います。
裏千家は、日本伝統の“詫び寂び”というよりは、新しいものを求め進化していく積極的な流派で、昔ながらの立ち振る舞いや作法を崩さずに行われる表千家などよりも、お道具やお茶菓子に色とりどりで華やかなものが多い流派です。
お抹茶の味も他のものより若干薄口で作られており、苦いものが苦手な方でもすんなりと頂ける仕上がりになっています。
◆礼儀作法はどんなものなの?
茶道には“お点前”といって、お抹茶を立てるにあたって行う礼儀作法があります。色んなものを細かくみれば難しいこともたくさんありますが、要は美しい姿勢と美しい形で美しいお茶を立てよう、というわけなのです。
これを完璧に行えるようになれば、日本の誇る大和なでしこになったも同然です。なぜなら、お点前を行う際は基本ずっと正座ですし、小さな容器へ高いところからお湯を注いだり、形を整えて礼をしたりと、緊張しながら行うことが多く、自然と綺麗な姿勢や仕草が身に付くのです。
手順を覚えるまでは少しばかり大変ですが、覚えてからはとびきり美味しく、美しいお茶をいろんな人に振る舞うことができるようになります。その姿はさながら、大和なでしこが蘇ったかのような、清らかで繊細な和風美人のようです。
◆お道具の種類
お抹茶を立てる際には、必ず必要なお道具が何種類かあります。
一連の流れをすべて行うなら、しっかりとしたお釜や、お茶出しの際に使用する袱紗(ふくさ)など多くのお道具を覚えなくてはいけませんが、自分でお茶を立てて飲みたい、というのなら、お茶を作る作業に必要なお道具だけで済みます。
棗(なつめ)…お抹茶を入れておくもの
茶碗(ちゃわん)…お茶を立てる入れもの
茶杓(ちゃしゃく)…お抹茶を茶器からお茶碗に移し替えるもの
柄杓(ひしゃく)…お湯をお茶碗にいれるもの
茶筅(ちゃせん)…お抹茶とお湯を混ぜ合わせるもの
自宅などで簡単にお茶を立てつつ雰囲気を出すならば、この5つがあれば十分に茶道の質を感じることができます。お稽古を積み、正しいお点前を習いたい方は近年流行している「茶道教室」に通ってみるのも一つの手です。
◆一緒に食べたいお茶菓子
お抹茶に合うお茶菓子で連想されるのは、
やはり和菓子ですね。
代表的なのは、お饅頭や、錦と言われるあんこをふんだんに使用した甘い和菓子です。さらに、お煎餅や葛餅なども後味の残るお茶によく合います。
しかし、裏千家で作る薄茶は、それほど苦くも濃くもないので実は洋菓子もよく合うのです。
バームクーヘンやドーナツなどの本来なら紅茶やコーヒーなども相性が合うものでもよい組み合わせです。基本としては、先にお茶菓子をいただいて、食べ終わってからお茶をいただくのが本来です。ぱくりと頬張って、口の中の水分が吸収され、ちょうど飲み物が恋しくなったころに、熱々のお茶をぐっと一気に流し込むのが醍醐味です。
もちろんその他にも、カステラやゼリーも舌にきりっと残る薄茶の後味にぴったりでです。どんなものと一緒にいただいても、ほっと一息できますね。
~最後に~
自分の手で作るお茶は、誰が作るものと比べても、やはり格別です。
時間をかけてしっとりと作りあげたお茶は、日頃の疲れやストレスを、一瞬でも忘れさせてくれるでしょう。心地よく穏やかな暖かさが、自身を優しい気持ちにしてくれます。温まったお茶碗にそっと手を添え、ぐっと一飲みした瞬間のあの和やかな気持ちは、なんとも言えないくらい癒されるものです。
そんな至福のひと時を、毎日頑張る自分へのご褒美と、新しい趣味との出会いとともに、味わってみてはいかがでしょうか。