「INTERVIEW PAGE~京都産業大学中井先生」

京都産業大学経営学部教授。博士。1959年大阪市生まれ。甲南中学校、甲南高等学校を経て甲南大学理学部経営理学科卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了。広島大学大学院社会科学研究科博士後期課程修了。岡山商科大学(財務管理論、経営戦略論)、広島大学大学院(ベンチャー企業論)、放送大学(経営戦略)などでの教育・研究活動を経て現在に至る。学会活動として、日本経営財務研究学会評議員、日本財務管理学会理事など。テレビ出演や執筆などでも活躍。
aaaaa<著書>

『物語(ストーリー)でわかるベンチャーファイナンス入門』中央経済社、2013年。

「『第二創業』としての事業承継―創業企業とのパフォーマンス比較と『第二創業』を生み出す要因の分析―」『財務管理研究』第15号、日本財務管理学会、2009年。

「中小企業の事業譲渡型Ⅿ&A―企業価値評価と営業権の視点から―」『京都マネジメントレビュー』京都産業大学マネジメント研究科、2009年。

「事業承継とM&A」坂本恒夫・鳥邊晋司編著『スモールビジネスの財務』中央経済社、2009年。

「敵対的買収とTOBの防衛」中井透編著『価値創造のマネジメント』文眞堂、2006年。

『入門アントレプレナー・ファイナンス』中央経済社、2005年。

『ベンチャー企業に対する資金供給の日米比較』科学研究費補助金成果報告書、2003年。

京都産業大学中井先生 インタビュー

―――我々は女性をメインとする形での広報活動を行っているのですが、先生の活動の中で女性の助けになるような、女性を支援する活動は行っていらっしゃいますか?

女性支援に特化したような活動はこれといって行っていませんが、私の周りには元気で前向きな女性が多いですね。

たとえば大学のゼミでは毎年20名を超えるゼミ生の半数以上が女性ですし、社外取締役として経営に関わらせていただいている会社は女性の割合が多くて個々の能力を発揮できる環境を整えています。

最近は女性の社会進出を支援するだけでなく後押しするような風潮がありますが、少し違和感を覚えています。

女性の社会進出は必要不可欠ですし、大歓迎です。

しかし、国などが制度を作って「後押し」する必要はまったくないと思っています。

たとえば「女性を何割採用せよ」とか「能力が同じだったら女性を優先して参加させよ」という風になると、社会進出の機会均等が失われてしまう。

―――なるほど。行き過ぎた支援活動が、結果的に新たな差別を生み出してしまうということでしょうか。

1985年に制定されて86年に施行された男女雇用機会均等法は、その名の通り、機会を均等にすることに主眼を置いたものでした。

私は会社員の経験があって、均等法施行前の82年に就職しましたが、当時の求人票にはたとえば「男性のみ5名」なんて書いてある。女性は応募することさえできない。つまり、機会が与えられていないことが多かったのです。

―――厚生労働省のホームページには、「労働者が性別により差別されることなく、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備することが重要な課題」であると書かれていますね。男女間の垣根を取り払うことで、あらゆる職業で女性が活躍できるチャンスが生じました。あくまでチャンスであって、就職を確約するものではないのですが・・・。

アメリカ人は良く「フェアでない」とか「アンフェアだ」とか言いますよね。これって、機会が平等に与えられているかどうかの価値基準なんです。

それに対して、はじめから人数とか構成比ありきというのは結果の平等です。

結果を無理やり平等にすることによって、本来なら採用されるべき能力の高い人が働く場を失うことになりかねません。

―――本来ならば「機会均等」の言葉の通り、男性と女性を同じ土俵で勝負させよう、という取り組みが、女性を特別視してしまうことになってきているということですね。

特別視という点では、同じ女性の中でも「外で働く人」と「専業主婦」の違いにも言及したいですね。たとえば税負担における配偶者控除の見直しなどは女性の社会進出を促す側面もありますが、生産活動に寄与していない専業主婦を特別扱い(優遇)し過ぎとの見方もあるのです。声高に「私たちは働いて納税しているのに、働かない専業主婦の家庭に税を優遇するのはおかしい」と叫ぶ人は一部の政治家ぐらいでしょうが、そもそも専業主婦って働いていないのでしょうか?

以前、とある都市銀行が「主婦の家事労働を金額に換算すれば」という趣旨のデータを定期的に発表していました。炊事や洗濯、子供の教育も、立派な労働との考えにもとづくものだったと思います。

aaaaaaa

主婦業も大変立派な労働。銃後の守りと言えると思います。

―――本来 無償労働である主婦業を、貨幣換算することで労働力を可視化するという試みですね。

「一人口は食えぬが二人口は食える」という言葉があります。

独身でいるより二人で暮らす方が一人当たりの生活費は抑えられて、案外やっていけるということです。一人暮らしの無駄を省いているのが主婦の労働なのです。

―――確かに、一人きりでの生活というのはとにかく色々なことが疎かになりがちですね。

昔から結婚という共同の生活では、お互いに補い合うことでマイナスをプラスに変えられることも多いのですね。

多様なライフスタイルが生まれる中で「主夫」っていうのもアリかもしれませんよね。まぁ、それはともかく、キッチリと家事をこなして「銃後の守り」っていうか、それを実践している専業主婦の人を、私はすごいなと思っています。

「女性を支援する」活動を行っていらっしゃるのであれば、普段あまり脚光を浴びることはないけれど、こういう人たちにもエールを送っていただきたいと思いますね。

―――本日はお忙しいところありがとうございました。

2015.02 Vol.6

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